ある企業の会議でのルールとして「否定をしない」というのがあります。
夕方のニュースの「注目のベンチャー企業」といったような特集、夜のバラエティー番組の「キラキラ企業の社長さんの1日密着」みたいなもので見たことがあります。
その時は「こんなきれいごとみたいな会議、意味あるの?」 と思っていました。
しかし最近、編プロさんとやりとりしていて、このルールに納得できました。
ネタ出しのシートがほぼ死んでいた過去
私はとある媒体の編集者をしています。編プロさんやライターさんから、月に1回ネタを出してもらう時があります。
スプレッドシートに記入してもらって、そこに私がフィードバックを入れる、というかなり業務的なやりとりです。
しかし、そこに書かれたネタは「やっつけ感」満載のものや、 既視感のあるネタが多く、すぐに OK を出せるようなものがありませんでした。
こちらでキーワードをいくつかピックアップし直したり、方向性を再考して新たなネタを提案したりして決めていました。
このようなやりとりが、どこかでしっくりきていない自分がいました。でも、これ以外の方法が見つからず、なんとなくやり過ごしていました。
きっかけは、記事の反響を書いたメールだった
その編プロさんには月に1回、記事の配信スケジュールをメールで連絡していました。そのついでに、すでに公開した記事の反響を書いたり、ヒットしたジャンルについて伝えたりしました。
なんとなくモチベーション上がればいいな〜、くらいの目的でした。
実際に送った内容ではないですが、 例えば下記のような内容です。
- 「男性目線」「男の本音」 といったキーワードは注目度が高い
- *****さんに書いてもらった原稿は軒並み PV 数がいいです
- ただの体験レポートではなく、「ではこういう場合はどうしたらいいのか」を具体的に示して読み手が行動できるような内容だとCVにつながりやすいです
- ***について紹介した記事はCV率が高かったです
そうすると、読んでいるだけでわかるほどウキウキした返事が来ました。
- 今こういうジャンルでネタを考えていたんですが、もうちょっと「男性目線」ネタのジャンル増やしますか?
- ありがとうございます!ライターさんの励みにもなるのでお伝えしておきます
- 例えばこういう感じで、読み手のパターンと行動の選択肢をいくつか提示する展開はどうですか?
ネタをスプレッドシートに記入するときとは違って、これまでの結果や、今やっていることを意識しながらネタを考えてくれていました。
ウキウキ感のある返事がきた数分後にはさらに
- 五月雨で申し訳ないのですが、こういうネタも良さそうですね
とさらにメールが来ました。
この時は、目的や方向性がはっきりしていてわかりやすいネタをいただけたので、その後何回かメールをラリーして、ネタを進行してもらうことにしました!
「褒められる」は仕事の最高のスパイスだ
正直、公開した記事のなかには反響が良くなかったものもありました。でも、まずは良かったところを正直に「良かった」と伝えて、 気持ちよく仕事をしたいと思って伝えました。
ただそれだけでしたが、 褒められることで気分が良くなってモチベーションも上がり、より良いものを作ろうという自発的な考えにつながったのではないかと思います。
否定されずに褒められた状態のときの方が空気的にもネタをポンポン言いやすかったり、どんどん自分の思考をめぐらせて、ネタやキーワードが派生して様々な提案が生まれたりするのではないでしょうか。
みんなで真面目にパソコンをカタカタさせながら、「でもこの場合は期間がベストではありません」「予算が足りません」「切り口が良くありません」「他の取材先じゃだめなの?」と話をする。よくありますが、否定されると一瞬で空気や思考が止まりますよね。
一方で、褒められると「やったー!」と単純に嬉しくもなりますし、「もっとやってやるぞ」と意識も高まりますよね。それを相手にもすればいいだけのことだと気づきました。
意識高い系の企業のきれいごとだと思っていた「褒める」 というルール。会議だけでなく同僚との業務の会話の中でも上手に取り入れて、気持ちよく仕事を続けていきたいと思いました。
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